こんにちは、末次ゆう(@ysgenfu)です。
3ヵ月半の間、『福賀ミネラルすいか』の生産に携わりました。
炎天下のビニールハウスでの作業や、雨の中害獣用のネット張り。早朝からの収穫・出荷作業…。
作物を育てる、それらを売って生活する農家さんの大変さを、一部ではありますが感じることができました。
すいかはこうやって育った
今になって後悔‥。写真をもっと撮っておけばよかったです💦💦
文章だけではわかりにくいとは思いますが、作業やすいかが育っていく様子を想像しながら読んでください。
※ビニールハウスの整備や、土づくりなどは既に終わっていました。
定植
わたしも定植(苗を植える)ところから作業を行いました。
わたしがお世話になっている農家さんでは約6000株植えるようにしているので6回に分けて行います。
業者からこのような形でスイカの苗が届きます。
苗はものすごく弱いので、軽トラにビニールを敷いて水を貯め、その中にかごごとつけておかないといけないようです。
前日にあらかじめ穴を空けておき、当日はそこに優しく植えていきます。
これも、押さえすぎはダメですし、逆にふんわりしすぎても根がつきません。絶妙なバランスを身に着けるのが難しいです。
1日に約1000株を5人で植えていく計算なので、1人あたり約200株ほどかな?ハウスの中はとても暑いのでたまりません…🌞💦
農家目線の詳しい解説は、Ume farmをお読みください。
今日のすいか「定植編」|Ume farm https://t.co/uTXo9d0tXj
— 末次ゆう🦌日本一周中にスイカ作りin阿武町 (@ysgenfu) 2018年7月29日
ソフトピンチと3本整枝
苗を植えて少し成長したら、『ソフトピンチ』という作業をおこないます。日本語訳すると「摘芯」。
というのも、このまま放置しておくと「つる」が出まくってごちゃごちゃします。
ある一定の葉っぱの枚数を決めて成長点を止めなければなりません。
こちらも写真がないので、Ume farmの記事『今日のすいか栽培「ソフトピンチ」〜「3本整枝」編』をお読みください。
写真付きで分かりやすく解説してあります。
スイカ栽培においては、蔓を4本で仕立て、2果収穫するのが主流ですね。産地によってはもっと多く蔓を出して3果採りするとか。
山口県阿武町の福賀地区でスイカを作る僕らは、量産型スイカなんてワクワクしないもんだから、3本仕立ての1果採りです。#スイカ#農業#田舎暮らし#1次産業 pic.twitter.com/iX8lxIpT4K— 梅田将成@山口県阿武町🍉ブログ開始! (@crfmuc0nd) 2018年5月15日
そして更に時間が経つと、「つる」を3本にします。普通の産地では4本つるを残して2果のすいかを収穫するそうですが、福賀すいかの場合は1果しかとりません。
この作業は、熟練した農家さんから理屈を教えてもらいながら、他の作業以上に慎重につるを選んでいきました。
孫とり
この『孫とり』がすいか作りの7割を締めています。
こいつを摘んでいくのが一番手間のかかる作業。
単純作業の繰り返し。#スイカ#農業#田舎暮らし pic.twitter.com/MVD62jU8fI— 梅田将成@山口県阿武町🍉ブログ開始! (@crfmuc0nd) 2018年5月31日
親づるの葉っぱ一節一節に、「孫づる」が生えてきます。これはものすごく元気なので、少しほおっておくとジャングル状態…。
ゆくゆくは親よりも成長し、親づるの葉っぱを隠してしまいすいかの成長を妨げることもあります。
地味だけど大切な作業です。これは本当に、根気のひとこと。
わたしはこういう単純作業は好きなんですけどね。苦手だなって人は、すいか作りに関して言えば向いていないと思います。
つるひき
これは個人的に苦手な作業でした。詳しい解説をできる写真がないので申し訳ない…。
3本になったすいかのつるは、当然前に前に伸びていきます。
伸びすぎると、ハウスから出てしまうので丁寧にストレスを与えないよう引いてあげなければなりません。
ちょうどひらがなの「し」を逆にしたような形でつるを整理していきます。
これが口で言えば簡単なんですけど、葉っぱはすぐ倒れるわ、つるはからまるわでもう大変…。
つるをまたがり前かがみになって作業をするので、腰も痛くなります。農業をしている感覚。
授粉
時期がきたら授粉に移ります。天候次第ですが、だいたい朝7時から9時までの間しか花粉がでないそうです。
人間の都合では動いてくれません。
今朝開いた雌しべに、今朝開いた雄しべの花粉を優しく付けていきます。
始めは今朝開いた花なのか、昨日のなのか…。なかなか見分けがつきませんが、次第にわかってきました。
写真はないので、またしても『雄花と雌花を見分けろ!今日のすいか栽培「授粉編」』の記事をどうぞ。
摘果
これはわたしたち素人ではできません。農家さん側が丁寧に行う大切な作業です。
授粉して無事に着果したすいかの子どもを、1つだけ選んで他はもいでしまいます。
もったいないようですが、こうしないと大きくて甘いすいかにはなりません。
今日もすいかを一玉にして、せっせとリスクとってます!
こういう場合がいちばん迷う。#すいか#農業#田舎暮らし pic.twitter.com/GNBj4lquBR— 梅田将成@山口県阿武町🍉ブログ開始! (@crfmuc0nd) 2018年6月8日
これもテキトーに選べばいいわけではなくて、着果した節数や奇形がないかなどを考慮しならが選ばないと良いすいかに成長しないそうです。技術と経験ですね。
皿ひきと防除
すいかが直接地面に当たっていると、色が変わったり傷になったりします。
対応策として、プラスチック製の皿を全てのすいかに敷いていきます。ある程度、大きくなっているのでもがないように神経を尖らせます。
‥2個ほどもぎました。(時効)
防除は機械を使って農薬をまいています。基本はわたしが行う作業ではありませんでした。
「無農薬が良い!」という方の気持ちももちろんわかります。わたしだって親がガンになったときに考えました。
ただ、現時点で農薬を使わないで生活できるだけの安定した収入を得るというのは非常に難しいのも事実。みんな矛盾の中に生きています。
割れたすいかも‥
これは暗い話題。
雨が降りすぎると、身だけが成長しすぎて薄い表皮が負けてしまい割れていきます。
数日間放置していると、カビたり虫が湧いたり…。もうたまったもんではないですね。
前述したように、1株に対し1果しかすいかがなりません。1個割れるたびに、今までの苦労が水の泡。
さらに追い打ちをかけるかのように、カラスやハクビジン・サル・狸などがハウスへやってきます。カラスが一番ひどかった…。
これが農業なんだと思い知らされます。
収穫&出荷!!
そんな数々の困難を乗り越えて、大きくて美味しいすいかの収穫を!
朝6時ごろから収穫をします。7月~8月の暑い時期ですから、朝8時にはハウス内はサウナ状態。
時間との勝負です。
そして、各農家さんのすいかも集め、『秀・優・良・B』といったランクをつけて箱詰めします。
この『超天』というサイズが、「まぼろしのすいか」と呼ばれているもの。13kg以上のすいかです。
もちろん、大きいからといって糖度が低いことはありません。数ではなくブランドで売っているすいかですから、品質管理にはみんなピリピリしています。
重さ16kgの福賀ミネラルすいか🍉
驚愕の大きさですが、味が落ちることはありません。 pic.twitter.com/0CT1fxW31x— 末次ゆう🦌日本一周中にスイカ作りin阿武町 (@ysgenfu) 2018年7月29日
写真は16kgのすいか。これでも大きすぎますが、わたしがこの夏測った最高は18.5kgもありました。
もう、スーパーに並んでる大玉すいかが小玉に見えてきます。w
作るって大変
ミカン収穫のみのバイトはやったことがありましたが、作るって大変だと思い知らされました。
天候に左右されまくるし、ちょっとしたことで全てがパーになる。
野生動物も食べごろな時期にやってきては作物を奪っていくし、病気になることだってある。
これが趣味の家庭菜園ならあきらめがつきますが、生計を立てる農家となると話は別です。直接生活に関わるんですから。
かといって、愛情がなければ上手く成長しません。3カ月間、朝昼晩、毎日、ハウスをまわって管理されていました。
ただ、種をまけばOKじゃないんですよ。消費者の目にはそういう姿がうつることはありません。
だからこそ、少し高くても本当に良いものを買って、がんばっている農家さんを少しでも応援したいなと思います。
他の作物についても数人の農家さんとお話しました。
消費者からすると安いに越したことはありませんが、作っている苦労を考えると割りにあっていないものも多いな、と感じます。
かといって、お米1kg1000円とか、じゃがいも1個200円とかになられてもこちらの生活が苦しくなります。
資本主義社会は難しい…。でも、農業で勝負してみたい気持ちは高まった3ヵ月半でした。